目次【本記事の内容】

アース・ポートとは

アース・ポートとは、宇宙エレベーターの地球側の発着点のことです。

イメージとしては列車で言うところの「駅」の位置付けですが、宇宙空間まで伸びたケーブルを地球側で制御する重要な役割を持ちます。

(「大林組が発表した宇宙エレベーター建築構想」によると、ケーブルの地球側の末端は風などの影響で10km単位で揺れ動くとのこと。アース・ポートへは陸上部分から海中トンネルで移動する計画が示されています。大林組の宇宙エレベーター構想についての詳細は大林組HPの動画をご参照下さい。)

宇宙エレベーター(アース・ポート)建設予定地は?

結論から言うと、未だ建設場所は決定していません(2019年2月現在)。しかし、制御等の観点から赤道上の海上への設置が検討されており、この記事はその場所を推測しているものとなります。

それでは、建設予定地を推測していきます。

赤道上の海上と言っても、

①赤道上領海(の島・人工島に併設)、②赤道上公海(の島・人工島に併設)があります。

赤道上領海の検討

現在赤道上に領土や領海がある国は

     サントメ・プリンシペ、ガボン、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ウガンダ、ケニア、ソマリア、インドネシア、エクアドル(スペイン語で「赤道」という意味)、コロンビア、ブラジル、モルディブ、キリバス、アメリカ合衆国(合衆国領有小離島のジャーヴィス島が赤道のすぐ南にある)、赤道ギニア(赤道を挟んでアンノボン島も領土)、ミクロネシア連邦(国境の南端、赤道が海上の国境となっている)、ナウル(国境の北端、赤道が海上の国境となっている)  

    『ウィキペディア(Wikipedia)』より

    とのことです。

    ここから(地図目視により)海に面している国を探すと…

    サントメ・プリンシペ、ガボン、ソマリア、インドネシア、エクアドル、(コロンビア)、ブラジル、モルディブ、キリバス、アメリカ合衆国(合衆国領有小離島のジャーヴィス島)、赤道ギニア(赤道を挟んでアンノボン島も領土)、ミクロネシア連邦(国境の南端、赤道が海上の国境となっている)、ナウル(国境の北端、赤道が海上の国境となっている)  

    となります。

    アース・ポートの制御に必要な範囲や、水深・波の加減、気象状況等が適合するのであれば、これらの国々は何らかの形でプロジェクトに関連(参画)する可能性は有りそうです。

    しかし、ここで問題があります。

    それは、「宇宙エレベーター(アース・ポート)を自国の領土に持つ国に対抗できなくなるのではないか」ということです。

    宇宙エレベーター建設当初は協力的であったのに、いざ出来上がって暫くすると、「自国(アース・ポートを領土に持つ国)に権利を主張される」、果ては「宇宙エレベーターや静止軌道衛星を占拠される」といった事態も、残念ながら想定されます。

    宇宙エレベーター(アース・ポート)はどの国の権力も及ばない場所に設置される必要が有り、建設に適している場所が所有されているのであれば、国際法を整備したり、権利(所有権や排他的経済水域等全て)を買い取る等の対策が必要となるでしょう。

    それならば、どの国の権力も及ばない水域(公海)に設置した場合はどうでしょうか?

    ②赤道上公海(の島・人工島に併設)について考えてみます。

    赤道上公海の検討

    このケースについては「宇宙エレベーター協会」が一つの見解を出しており、ケーブルの材料を”カーボンナノチューブ”として想定した場合

    (きちんとした調査が行われたわけではないのですが、現在ある資料に照らすと、インド洋上、アフリカ西方洋上及びガラパゴス諸島の南方洋上が考えられています)。(甲斐 素直)

    宇宙エレベーター協会 Q &A集」より一部抜粋

    とのことです。 

    「宇宙エレベーター協会」の見解によると、アース・ポート制御等の観点から、アース・ポート周辺には「何も無い」ことが望ましいとのことです。

    しかしながら、そうは言っても、アース・ポート制御区域周辺には、利便性を考えると、港、空港、商業施設等、宇宙開発に関連した施設を置いた陸上拠点(人工島含む)は必要となるでしょう。

    広ければ広い程良いですが、種子島宇宙センター(総面積約970万㎡)や関西国際空港(1068万㎡)程度の土地は必要となるのではないでしょうか。

    補足

    因みに人工島の主な作り方は

    • 海底から護岸となる構造物を築造し、その内側を土砂、廃棄物などで埋め立てたもの。通常の港湾(岸壁)整備工事と同様の手法。
    • 陸上で作成された躯体(ケーソン)や柱(鋼管柱やコンクリート柱など)を海底の岩盤上に据え付け、その上に構造物を建設したもの。小規模なもので用いられることがある。
    • 造船所等で浮体を作成し、海底に係留しただけのもの(浮島構造)。

    『ウィキペディア(Wikipedia)』より

     であり、建設方法にもよりますが、埋め立てるとなると大量の土砂が必要となります。(ex.関西国際空港埋め立て土量は約4億4000万㎥)

    費用面では近隣諸国の陸地を拠点に出来るに越したことはないでしょうし、人工島を設置するにしても近隣諸国の協力は必要となるでしょう。

    まとめ

    推測結論

    これらのことから総合的に判断して、私は、

    • アース・ポートは赤道上公海(ガラパゴス諸島の南方洋上)に設置される
    • アース・ポート制御区域周辺国の陸地(権利等全て)を買取り、宇宙開発(宇宙エレベーター)関連施設の建設がされる 。

    と推測します。

    何故、その場所を推測したのかと言うと

    先ず、「赤道上公海への設置」は免れないと思いました。後になって権利を主張されたのではたまったものではありません。どのような手段を用いるにせよ、設置するポイントは「公」にすべきでしょう。

    それでは他(インド洋上、アフリカ西方洋上)は何故選択しなかったのか。

    これは凄く難しい問題でしたが、一番懸念したポイントは「テロ」です。インド洋では海賊の話を多く聞きますし、心理的にもIS関連国が近いイメージです。アフリカ西方洋上も、あまり治安の良いイメージの無いアフリカ大陸から近く、避けるべきかと思いました。

    ガラパゴス諸島の南方洋上についても、実際、周辺諸国の治安は良くは無いです。しかし、この3択であれば、ガラパゴス諸島の南方洋上が一番NASA(アメリカ)に近く、メリットが大きそうだと感じたのです。

    ここでポイントとなってくるのは周辺諸国であるエクアドル(ガラパゴス諸島はエクアドルに帰属している)でしょう。エクアドルは反米路線を辿っていましたが、外資誘致による経済回復を図るべく、近年その関係を修復しようという動きも見られています。

    「アース・ポート(宇宙エレベーター)建設」という大義名分の下、エクアドルに国際的(公的)資金流入を持ちかけ、人口島建設の為の土砂や労働力、あるいは権利を(適正な価格か割安で)購入出来る筋書きが立つのであれば、win-winの関係を築きつつ(テロを防ぎつつ)建設作業を行えるのではないでしょうか。

    ひとこと

     宇宙エレベーターについて、建築に関する一番の課題は「ケーブル(の素材)」であると言われていますが、技術面より寧ろ「テロ対策」が大切であると感じます。

    ロケットよりも大幅にコスト削減可能とされている宇宙エレベーターですが、人為的にケーブルを切断されでもしたら、その復旧コストは、環境へのダメージも考慮すると計り知れません。

    「原子力発電」のように、廃棄コスト等も含めて、良く良く考えて建設されるように期待しています。

    また、これはどこに宇宙エレベーターが建設されても同じなのですが、景観は大幅に損なわれると思います。今のうちに、美しい自然を見ておいた方がいいかもしれませんね。

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