目次【本記事の内容】
- 1.宇宙エレベーター(軌道エレベーター)について
- 1-1.概要
- 1-2.開発
- 2.宇宙エレベーター関連企業(組織)について
- 2-1.アース・ポート建設
- 2-2.ケーブル設置(ケーブル材料の大量生産)
- 2-3.ステーション設置
- 3.ひとこと
宇宙エレベーター(軌道エレベーター)について
概要
宇宙エレベーター構想とは、地球と宇宙を結ぶケーブルを設置し、そのケーブルを昇降機(クライマー)がつたっていくもの。例えるなら宇宙空間にまで伸びた『ジャックの豆の木』を「エレベーター」で移動しようという構想です。
(2000年に、ロスアラモス国立研究所のブラッドリー・C・エドワーズ博士により建造可能な宇宙エレベーターが示され、そのモデルは、多くの宇宙エレベーター構想の元になっています。現在研究段階ですが、建設は理論上可能であるとされています。)
と言っても、ケーブルは、『ジャックの豆の木』の様に地面に直接備え付けられる案よりも、赤道上の海の上に建設されたアース・ポートに設置される案が有力な様です。
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宇宙エレベーターに必要とされるケーブルの長さはおよそ10万kmにまで及ぶとされており、その巨大なケーブルを地表に備え付けていたのでは制御が困難です。コリオリ力を最小限にし、かつ自在にケーブルを制御する為には、地球のケーブル設置面(アース・ポート)は赤道上の海上が望ましいのです。
(地球の円周が約4万kmですので、ケーブルで地球を2周半できますね。)
宇宙空間まで伸びたケーブルの随所にはステーションが建設され、そのステーションは更なる宇宙開発への拠点となります。
宇宙エレベーターはロケットより低コストで安全に人や物資を輸送できる可能性が有り、今後の宇宙開発を進めていく上で実現が期待されています。
開発
海外については米国航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)等。日本においては一般社団法人宇宙エレベーター協会等が研究を進めており、ゼネコン大手の大林組は2050年宇宙エレベーター完成に向けた構想を発表しています。
宇宙エレベーター詳細についてはこちらをご参照下さい。http://219.99.167.119/about-se/index.html (一般社団法人 宇宙エレベーター協会HP)
宇宙エレベーター関連企業(組織)について
一口に宇宙エレベーターと言っても、その建設工程は「アース・ポート(地球の発着点)建設」、「ケーブル設置」、「ステーション設置」等多岐に渡ります。
宇宙エレベーターの建設は人類史に残る巨大プロジェクトとなり、世界各国の多くの企業がそのプロジェクトに携わることになるでしょう。
それでは、日本でプロジェクトに関連(参画)が期待される企業(組織)とは?
宇宙エレベーター建設の主な工程から推察します。
アース・ポート建設
- 海洋研究開発機構(JAMSTEC)、三菱重工業、三井造船 他多数
… 地球深部探査船「ちきゅう」の水中移動技術等が用いられる
- 大林組、鹿島、大成建設、日本郵船、商船三井 他多数
… 建築全般、人工島・空港建設等
ケーブル設置(ケーブル材料の大量生産)
- 東レ、GSIクレオス、日本ゼオン 他多数
… ケーブルの候補として、カーボンナノチューブが使用できるか研究されています。
ステーション設置
- JAXA、三菱重工業、IHI、アイ・エイチ・アイ・エアロスペース、NEC、日立製作所、川崎重工、三菱電機、有人宇宙システム(JAMSS)、TIS、エイ・イー・エス、三菱スペース・ソフトウェア、宇宙技術開発(SED)他多数
… ISS関連技術が用いられる。
ひとこと
宇宙エレベーターの建設を日本の企業が独占することはまず無いでしょう。しかし、日本にしか無い技術はたくさん有ります。これらの企業が活躍してくれることに期待したいですね。